なぜプロダクトデザインは「形」から始めないのか
プロダクトデザインという言葉から、「まず形を考える仕事」を想像する人は多いと思います。 スケッチを描き、美しいフォルムを整え、そこから中身を詰めていく。 一見するとそれは自然でクリエイティブなプロセスに見えるかもしれません。
しかし実務としてのプロダクトデザインでは、「形」から始めることはほとんどありません。
それは美意識がないからでも、造形を軽視しているからでもありません。 製品が置かれている環境や状態を総合的に理解をせずに形にしてしまう事によって製品の可能性を結果的に奪う事になります。また「形」という最終的なアウトプットを誰よりも大切にしているからこそ、あえて最初には手をつけないのです。
プロジェクトの初期段階で「とりあえず形にしてほしい」という要望をいただくことは少なくありません。早く具体像を確認したいという心理は、プロジェクトにおいて自然なものです。 しかし私たちは、いきなり形から入るデザインはプロジェクト全体のリスクを高めると考えています。その理由を整理してお伝えします。
1.形は「課題解決の結果」として現れるものだから
プロダクトデザインにおける「形」は、ひらめきで生まれるものではありません。 無数の要素を統合した結果として、はじめて立ち上がるものです。
・基板や内部構造の配置(エンジニアリング)
・金型の抜け勾配や強度(製造要件)
・直感的な操作性(UI/UX)
・愛着を生む佇まい(情緒的価値)
・金型の抜け勾配や強度(製造要件)
・直感的な操作性(UI/UX)
・愛着を生む佇まい(情緒的価値)
これらすべての条件が整合したとき、最適な「形」が自然に導き出されます。 要件整理を行わないまま形だけを先に決めてしまうと、後から必ず「作れない」「コストが合わない」「使いにくい」といった問題が発生します。